■ベランダ・バルコニー防水工事の種類

まず、ベランダ防水工事の種類についてご説明します。基本的に戸建て住宅のベランダ防水工事にはウレタン防水、FRP防水の2種類があります。
この2種類のベランダ防水の種類を知っておくことで、ご自宅のベランダに最適なメンテナンス方法が分かるようになります。

①ウレタン防水

ウレタン防水はウレタン樹脂塗料によりゴム状の防水膜を作る防水方法です。

ウレタン樹脂は低反発マットレスなどに利用されていることからも分かるように、柔らかい皮膜を形成するのが特徴です。

ウレタン防水は液体状の材料を使って、現場で仕上げる工法なので、複雑な形状をした場所でも、継ぎ目のない防水膜を形成できます

【メリット】
• FRP防水に比べ、コストが安い。
• 防水層が軽量なので、建築物にかかる負担が少ない。
• 複雑な形状の部位へも使用可能。
• 継ぎ目のない均一な仕上がり。

【デメリット】
• 各工程で乾燥期間が必要なため、工期に時間がかかります。
• 均一な塗膜が難しい。
• 定期的にトップコートをする必要がある。

②FRP防水
FRPとは繊維強化プラスティック(Fiber Reinforceed Plastics)の略称で他のプラスティック系の材料の中で対衝撃性に優れており、耐水性や加工性に優れていることから、自動車のバンパーやヘルメットなどに使用されている素材です。そのFRPを防水工事に応用したのがFRP防水です。

FRP防水の特徴は防水用のポリエステル樹脂と防水用ガラスマットで作られた防水層を形成することから他の素材比べものにならないほど、高硬度で、対衝撃性、磨耗性に優れた仕上がりになります

しかし、”動き”に対する対応性に脆く地震などによる下地の動きに追従できずに割れてしまうことがあります。

【メリット】
• 強度、軽さ、耐水性、耐熱性、耐久性に優れている。
• 均一な厚みで施工が可能。
• 速乾性なので工期が短くて済む。
• トップコートのバリエーションが豊富。

【デメリット】
• コストが高い。
• 臭いが出る。
• 湿気や化学反応で硬化するため、外気温に左右される部分が大きい

■ベランダ・バルコニーの劣化症状
次に、ベランダの劣化症状について説明します。

劣化症状を把握することで、適正な修理方法が分かります。そして、ベランダ防水工事のだいたいの必要費用が分かるのです。

具体的にベランダの劣化症状を確認してみましょう。

①ひび割れ


モルタルやコンクリートのベランダでよく見られる劣化現象です。

モルタルやコンクリートの”ひび”は大抵V時型に入り、表層ほど広がっているのが一般的です。そのため、ひび割れの幅が広ければそれだけ深くまで割れていると想像できます。

補修の目安としてはひび割れの幅が0.3mm以上あると補修が必要と専門家は判断します。

ヘアークラック(髪の毛程度のひび割れ)のような場合はそれほど心配する必要はありません。

②膨れ・剥がれ


・経年劣化によるトップコートの剥がれ

新築から3年でベランダの塗装がバリバリに剥がれてきたというご相談をお客様から頂きますが、FRP防水のベランダやバルコニーに多い劣化症状です。

現在では新築住宅のベランダの大半がFRP防水が施されています。このFRP防水のトップコートには高硬化かつ磨耗性に優れたポリエステル系のトップコートが塗られています。

この高硬化かつ磨耗性に優れたポリエステル系のトップコートですが、紫外線や経年劣化の影響で次第にパリパリになってしまいます

例えば、長年屋外に放置されたゴムホースをイメージするとわかりやすいと思いますが、年数が経ったゴムホースの表面は硬くなりヒビが入りますよね。これと同じように、ポリエステル系のトップコートも経年劣化で伸縮性が無くなり、パリパリと剥がれるようになります。

・毛細現象による防水層の剥がれ・膨れ


防水層ごとめくれあがってしまう劣化症状として水の毛細現象が原因です。

「毛細現象ってナンダ?」と疑問に感じる方もいらっしゃると思いますが、簡単に言うと、ひび割れなどの小さな隙間から水が侵入して、防水層の内側に入り込んでしまう現象です。

厳密には”水”ではなく”水蒸気”ですが、防水層ごと剥がれてしまっている場合、ひび割れよりも下地から水が侵入しているケースが多く、塗膜の内側から水蒸気が発生して、塗膜を膨れ上がらせてしまいます。

これはヤケドした時にできる”水ぶくれ”をイメージしてもらうと分かりやすいと思いますが、ベランダの”塗膜の膨れ”も塗膜と下地の間に水が溜まってしまうことで、塗膜が膨れ、最終的には防水層ごと剥がれてしまいます。

③水たまり
ベランダに水たまりができる原因は2つです。”勾配不足”か”ドレンや排水溝の詰まり”が原因です。

そもそも、ベランダ・バルコニーは水を排水する為に、排水溝へ向かって緩やかな勾配があります。しかし、雨水が適切に排水されずに水たまりができてしまう場合は、防水というよりも設計上の問題があるかもしれません。

また、水たまりができてしまう原因として、落ち葉などでドレンや排水溝が詰まってしまい水をせき止めてしまっているケースもあります。

ドレンが内部で詰まってしまっていた場合トイレのつまりを解消するラバーカップで詰まりがとれることがあります。

④雨漏り
ドレンが内部で漏水していた場合や、ひび割れが原因で漏水してしまって場合、ベランダの底に雨染みが見られるとこがあります。

この雨染みはこれまで見てきたひび割れや剥がれなどの劣化症状が雨漏りに発展しているサインなので早急に補修工事をする必要があります。

 

■ベランダ・バルコニー防水の工事工程
続いて、ベランダ・バルコニー防水工事の施工工程についてお伝えします。

①トップコート塗り替え
トップコートが剥がれていても、防水層が劣化していなかった場合、トップコートの塗り替えで対応することができます。

②高圧洗浄、下地調整
まず始めに、高圧洗浄でベランダ・バルコニーついた汚れやカビをキレイに洗い流します。

③溶剤拭き取り
アセトン拭きで表面のワックス成分をき取ります。このワックス成分を拭き取らないと塗料が剥がれてしまう原因になるので防水工事の中でも特に重要な工程となります。

④プライマー塗布(下塗り)
アセトン拭きで表面のワックス成分を取り除いたら、次にプライマーと塗布します。プライマーと聞くと難しく感じてしまうかもしれませんが、プライマーは防水層とトップコートの吸着力を促進させる接着材の役割を果たします。

⑤トップコート塗布(上塗り2回)
プライマーを塗り終わったらいよいよトップコートを塗っていきます。

トップコートは基本的に2回の重ね塗りが行われます。

■ウレタン防水工事の工程
ベランダのウレタン防水工事は密着工法による防水工事が一般的です。密着工法とはウレタン防水工事で最もスタンダードな工法です
一方で、ベランダよりも広い面積のバルコニーでは通気緩衝工法(脱気工法)による施工が行われることがあります。20平米を超えるバルコニーで使われることが多く、下地の上に通気シートを敷き詰めて、その上にウレタン塗料を塗る工法になります。

通気緩衝撃工法はシート防水に似ている為に勘違いされる方も少なくありませんが、下地の上に通気シートを敷き詰め、その上にウレタン塗料を塗る為に、下地を緩衝しながら支える為に、ひび割れが起こりにくいのが特長です。

また、通気緩衝工法はシートの下に水や湿気がたまらないようにする為に、脱気筒というステンレス製の筒が取り付けられるのが特長です。

脱気筒の設置目安として、20〜100m2につき1個設置します。ベランダやバルコニーでは1個設置することになります。この脱気筒があることで、湿気を逃がすことから”膨れ”、”剥がれ”が起きづらいのが特長です。

①高圧洗浄
まずはじめに下地を高圧洗浄キレイに洗い流します。

②下地調整
下地がコンクリートやモルタルの場合、伸縮目地(既存のコーキング)を撤去し、ひび割れを補修します。

③プライマー(下塗り)
下地の処理が終わったら次に、プライマーを塗っていきます。このプライマーは主剤(塗料)の付き促進させる為に塗られます。

④通気シート貼り付け(ウレタン防通気緩衝工法のみ)
通気緩衝シートを敷き詰めるように貼っていきます。そしてシートが重なっている部分をテープで止めて、脱気筒を設置します。
⑤主剤を流し込む (2回)
⑥トップコート塗布

■FRP防水工事の工程

①下地調整・高圧洗浄
既存の防水層をサンダーやサンドペーパーなどで削り全て撤去します。この際に釘の浮きなど施工不良につながりそうな箇所を削り取り、下地を調整します。

②プライマ既存の防水層を撤去したら次にプライマーを塗布します。プライマーの役割は防水剤がしっかりベランダの下地に密着させるための接着剤のような役割があります。

③ガラスマット貼り付け
プライマーを全体に塗ったらいよいよ防水面(FRP)を貼り付けます。ガラス繊維を防水面に敷きながらポリエステル樹脂を浸透させます。これがFRPの防水層を形成します。

④トップコート塗布(上塗り2回)
脱泡作業を行いしっかりと防水層を形成したら、トップコートを塗布します。FRP防水のトップコートで使用される塗料はアクリル系か、ウレタン系のトップコートが使用されます。

以上となります。

ご自宅のベランダ、バルコニーの点検、調査お見積りは無料ですので1度おゆみ野工房まで御相談下さい!!